机プロジェクトは、2011年初頭からスタートし、約2年がかりで思考する机が誕生しました。
2011年春。私たちは、机とは何か?を考えるところからスタートしました。
ビジネスマンや研究者にとって机はとても重要なものです。実に人生のおおよそ3分の1を机に向かっている計算になります。妻や子どもといる時間よりも長いのではないでしょうか。机とはそんな大事な「伴走者」なのです。
「伴走者」にはどんな要素が必要となるのでしょうか?
丈夫、居心地が良い、落ち着く、教えられる、脳が活性化する、集中力が増す…。
こんな机はあるでしょうか?集中力を増して、成果を出す。こんな幸福を呼び込む机があったらうれしいものです。
既成概念を取り払った創造ミーティングで生まれたのが、「全方位デスク」です。
人と机は机のある直線と向き合っている。この直線を曲線に変える。曲線と向き合うことで、机と人間の関係が変るのではないか。思考そのものが変るのではないか。円の力を借りよう。居心地、集中力、同時並行作業、これらのキーワードを手がかりに「全方位デスク」へと発展していきました。
MONO-LAB-JAPANの大きな力、3Dプリンターが夢の実現に向けて大活躍しました。
ところで、創造ミーティングと試行錯誤型ものづくりに威力を発揮したのは、
あの3Dプリンター。
この年(2011年)の秋にテレビ東京のWBS(ワールドビジネスサテライト)で放映されたMONO-LAB-JAPANの大きな力、3Dプリンターが夢の実現に向けて大活躍しました。
試行錯誤を経て、2011年の夏。3Dプリンターによる試作イメージが出来上がり、いよいよ家具の専門家とのミーティングに入ることができました。
家具の専門家の方々をお呼びして、高山の和井田製作所に集まり、製作会議を行いました。
東京の事務局の3Dプリンターで出力した模型を見ながら、どのように木材でつくるか、検討しました。
プロの方々は、机を見るなり、「これなら作れる」ということでした。
強度的に不安な部分(例えば天板を支える仕組み)などを、メンターの方よりアドバイスを頂き変更・調整を行いました。
これらはすべて、創造ミーティングでできたアイデアを基に、実際に使われた3Dデータと3Dプリンターで出力したものです。
2011年10月25日 ついに、赤門机試作第一号が完成。
スタッフ全員集結し、赤門机を組み立てました。
壁の左にコルクボード、右にはホワイトボードもあります。
いざ、実物大の机ができてくると、パソコン上で作ったモデルや3Dプリンターで
出力したモデルとは異なる実感があります。
単純に「作った」という感慨も大きいですし、実際に「使える」というもの、3Dモデリングとの大きな違いを生み出しているのでしょう。
そして何よりも、ものづくりの上流工程から下流工程まで全てに関わることができた、という事実が改めて身にしみてきます。 もちろん、このデスクは、私たちモノラボメンバーだけで作ったわけでなく、周囲の多大なるサポートがあってこその作品です。
2012年。年が明け。
いよいよ世の中の多くの方に喜んでいただける製品づくりに向かいます。
試作赤門机の使い心地はとてもいいものです。
しかし、製品として世の中にご提供するためには、様々なチェックポイントをくぐりぬけていかなければなりません。
2012年初頭からの1年は、製品としてのブラッシュアップ。チェック項目は多岐にわたり、1年を要することになりました。
この間、東京大学牧野研究室の学生・院生の皆さん、MONO-LAB-JAPANプロジェクトのメンター、和井田製作所、高山の家具会社、プレジデントワンおよび関係者の方々のご支援で完成することができました。実に多くの方々の叡智が結集されました。
あらためて関係する多くの方々に心より感謝申し上げる次第でございます。
まさに市場と製造が一体化したクラウドファクトリーモデルの第一号となりました。この赤門机が、仕事や勉強の仕方にあらたな可能性を切り拓くことを楽しみにしています。